ちょうど4年前の今頃私はミュンヘン音楽コンクールのためにドイツのミュンヘンにいました。
予選に通り、本選に出場し、コンクールの結果は1次敗退でしたが、
初めて受けた大きすぎる国際コンクールで、沢山のことを学ばせていただきました。
何より同い年のウクライナ人のソプラノ歌手との出会いは衝撃的でした。
25歳なのに、同い年なのにどうしてこうも違うのかと後悔し、自分を責めました。
彼女の演奏はそれはそれは素晴らしく、
25歳の私にはとても輝いて見えました。
人の心を動かす自然で温かい歌が完璧に歌える彼女はもちろん優勝しました。笑
コンクールを通してレベルの違いを思い知らされましたし、レベルが違いすぎて悔しいという思いもわきませんでした。
何より彼女が優勝してくれて心の底から嬉しかったです。
彼女とは今でも時々連絡をとりあっています。とても大事な友人の一人です。
実家の猫がセミファイナルの前日に亡くなり、セミファイナルで彼女が歌ったクレオパトラのアリアが素晴らしすぎて、
号泣しながら、楽屋に行って感動を伝えたことを今でも昨日のことのように覚えています。
「あなたのように歌えるようになりたい」
感動しすぎて無意識に言葉を発していました。
彼女も目に涙を溜め、間髪入れずに
「早織、本当にありがとう。ドイツにおいで。私の先生を紹介してあげる。住むところ?うちに住めばいいじゃない。問題ないよ。歓迎するよ。」
そういってくれました。それを聞いてまだ課題曲の部門が残っていたのに、また泣くというなんとも迷惑なやつでした。
そんなことがあっても休憩後また彼女は変わらず素晴らしい演奏を見せてくれました。精神力もすごい。
今考えても何故あのタイミングで彼女のところへいってしまったのかと大反省ですが、後で聞いたら彼女もとても嬉しかったと言ってくれてまた器の大きさに完敗でした。
コンクールのあと、一緒に買い物に行き、カフェに行って、またドイツ行きの話をしてくれました。
その後しばらくして本当にドイツに行き彼女の家に20日間くらい滞在させてもらい、素晴らしい先生に出会い、ドイツ行きを決意しましたが、
留学準備の為に日本に帰国してすぐ、アジア人だけ学費が4,5倍に跳ね上がり、留学は断念しました。笑
そのときはもがき苦しみましたが、今はそれが良かったのだと思っています。
この四年間日本で色々なことを経験させていただき、地元でも演奏させていただき、犬の介護と死を経験して歌が変わりました。
私が歌いたかったように歌えるようになりました。
犬も猫も旅立ってしまいましたが、彼らはいつも応援してくれ、私が歌う歌をとても好きでいてくれました。
いつも帰ってくると彼らの写真が迎えてくれて、いつも見守ってくれているような気がします。
これからどうなるかわかりませんが、どうしたいかは見えてるので目標に向かってまっすぐに頑張っていけたらと思います。
長い思いで話になりましたが、四年前の話でした。 おわり 笑
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