明けましておめでとうございます(編集してたらこんなにも遅くなってしまいました←しかも長い)
昨年は色んなことがたくさんあった年でした。とても一言では表せず長文ですが書いていきたいと思います。
びわ湖ホールのワーグナーの無観客公演を終えて、春あたりから怪しくなってきた公演たち。
結局去年出演を予定していた公演は全て中止、または延期になりました。
悔しさもありました。でもそれ以上に世の中がどうなっていくのか不安があって私の音楽したい気持ちなんてどうでも良くなりました。
今年は音楽はお休みしてもいいかな。無理しても仕方ないな。
と思ってとりあえず生きるためご飯を食べるために新しく事務の仕事を始めました。
執着を捨てたからなのか、仕事を始めてしばらくすると新しく決まった公演への出演のご依頼を頂きました。
一つは校歌収録。
子どもたちのために彼らの学校の校歌をプレゼントするという何とも粋な企画でした。
音楽会と巡回公演の中止が残念すぎてちょうどアンサンブル担当さんに私全く関係無いのに何か出来ないかと案をまとめメールを送ろうとしていたところに電話が来て、
「なんだその素敵な企画やりたいに決まってるジャーン」
とすがる思いで新しい職場の上司に相談すると二つ返事で
「そんな意味のあることなら休んでいいよ!頑張ってきてよ!」
と言ってくれたのでした。
背中を押され足を突っ込んだ校歌プロジェクトは6月から11月まで半年かけて全163校を録り終えるという大きなプロジェクトになりました。
こうやって子どもたちのために未来のために何かをできるびわ湖ホールの皆さんを心から尊敬するとともにまた大好きになりました。
子どもたち、喜んでくれてるといいな。
そして2つ目は沼尻さんが日本の合唱曲を集めた緊急演奏会。
依頼を頂いたのが稽古まで1週間切ってるのに「曲めっちゃむずいよ調どこだよこの音程なんなのよでも全部何て良い曲なのよー(泣)」というプログラムでソルフェージュ出来ない私には驚愕のことでしたし休みももらえないかもと思ってまた上司に確認すると
「そっちが本業なんだから休んでいいよ!頑張ってきて!」
とまた奇跡的に背中を押してくださり毎日ギャーギャー音ぜんっぜんわかんねー!と叫びながらピアノを叩きながら頭を抱えながら全力疾走で公演に出演させていただいたのでした。
みんなと久しぶりに声を合わせるのが本当に楽しくて大ホールいっぱいに広がる景色が見れるのが本当に楽しくて。
目の前にサファリが広がったり、
魅惑のチキルームが見えたり、
パステルカラーの雲が見えたり、
家族の愛が見えたりと本当に本当に楽しかったのでした。
舞台に上がって出てきただけなのに拍手が鳴り止まなくてお客さんがお帰りぃって言ってくれてるのかなとじーんとして一人ひとりの顔を見ながら心を込めて歌ったのでした。
公演が終わり気付くと、春頃執着を手放したはずの音楽がとてもしたくなってしまいました。
そして音楽がしたくなった欲は止まらなくなり、
もともと2020は大好きな歌手の方にすすめてもらったマーラーを勉強するんだって決めてたこともあり、
全く受ける予定の無かったコンクールに挑戦することにしたのでした。
一次で歌ったフォーレの「墓にて」。
この曲は大学生の時に突然旅立ってしまった先輩の訃報を知ったときに偶然発見したもので歌詞があまりにシンクロして心臓に突き刺さってずっと歌えませんでした。
何年も苦しくて苦しくて声にならなかった。
いろいろな経験を経て去年初めて自分の思い描くように歌うことができました。
一次の帰りの新幹線で結果も出てないのに旅立った先輩のことを思い出して号泣したのでした。
やっと歌えました。
やっとさようならが言えた。
10年以上かかりました。
偶然発見してからこの曲を歌わなくてはならない。
とずっと思ってきてその思いがやっと叶ったのでした。
コンクールは一次でフォーレで出し切り力尽きてしまったようで二次はダメダメでダメでしたが、
本当にこの期間に向き合った曲たちの素晴らしいこと。
なぜかロシア語が多めでしたがどの曲も本当に大好きでこれからもじゃんじゃん歌っていこうと心に決めたのでした。
コンクールのために万一のビデオ審査用のも用意しなくてはならなかったため、コンクールの曲全曲とどうしてもやりたかったマーラーのリュッケルト歌曲集を8月末に録画しました。
ピアニストの中山さんと時間あったら比叡山行きたいねなんて言ってたのですがハード過ぎて一瞬たりともそんな時間は無かったのでした。
うだうだ言いながらも録画でき、
リュッケルト歌曲集はyoutubeに公開しました。
ホームページでは動画コーナーにおいてあります。
良いところもありますが正直とても下手です。
発展途上でしたが全て私の実力と思って公開しました。
いつかお客さんの前で演奏できるときが来るといいなと思っていると、
偶然びわ湖ホールの
「ザ・ファーストリサイタル」
という企画を発見し10月にオーディションを受けて合格し、
3月にびわ湖ホールで本当にマーラーのお客さまの前でリュッケルト歌曲集全曲を歌えることになったのでした。
リュッケルト歌曲集のお供に選んだのは、大好きなヘンデル。
私は会ったことも話したことも無いヘンデルが好きで好きでたまらないのです。もし会えたらとっておきのハイヒールをプレゼントしたいのです。
今までに歌ってきたアリアたちを集めました。
色んなヘンデルが楽しめる前半。
全部ズボン役でますますカウンターテナーに寄ってしまうかと思いきや一曲女性のアリア。
このアリア、本当におもしろいです。
ヘラクレスを死に追いやった妻が自分のせいだと知り曲中でどんどん正気を失い狂っていく曲なのですがさすがヘンデル。
プログラムの中で浮き立っている一曲です(汗)
全ての景色がプロジェクションマッピングのようにパッパッパッと浮かんできます。ギリシャの復讐三姉妹もハッキリ見えます。
正気を失う曲ですが技術的に超絶難しいので本当に正気を失うと歌えません。
ヘンデルの喜怒哀楽がすべて詰まったプログラムに狂気も足しました。
この曲もいつか演奏したいとおもっていた曲なのでとても楽しみです。
長い。もうここまでにします(笑)
コロ助のおかげで沢山苦しい思いもしましたが、沢山学んだこともあります。
まだまだ落ち着かない世の中ですが色々な公演を試行錯誤して上演してくださる劇場関係者の方に心から感謝します。
ここまで読んでくださった方、菩薩のような方ですね、ありがとうございます。
皆さまどうぞ健康で元気に今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
益田早織